2023年の振り返りと今後について #文芸創作

はじめに ブログの投稿もお久しぶりです。 大変ご無沙汰しておりました。 年末ということもあり、今年の私の文芸創作活動を簡単に振り返りつつ、ついでに今後の抱負めいたことも記しておきたいと思います。 特に、今年はおそらく転機の年になると思いますの…

ファンタジー短編小説『オレが異世界に行った後』を書きました。

掲題の小説を投稿サイトに掲載しました。 カクヨム 小説家になろう 全5話で完結済みです。合計14,000字弱ほどのボリュームとなっております。 きっかけ このストーリーは約1年半前に思いついたものです。 当時も今も、「異世界転生」というジャンルがライト…

ひとり衛星航路

――くるくる、ふわり、 地球の周りを回ってる 小さな人工衛星の中は 僕の秘密の隠れ家だ 『やあ、今日も会ったね』 なじみの船が 付かず離れず飛んでいる わざわざ声を掛けなくても 同じ時の流れに乗って。 ――ピコピコ、ピッコン、、 ときどき メッセージが届…

未完成のひこうき

子どもの頃 みんなで集まって 飛行機を作ったね エンジンもない 操縦桿もない みんな、思い思いの翼を生やすばかりで 出来上がったアレは何だったのかな 無理やり飛ばした「ひこうき」は ここに帰って来れなかったね バラバラになってしまったね 大人になっ…

淡雪

あれからもう 何年になるかな 未だに 君に向き合うことができなくて 僕はここで どこにも行くことのない 詩(うた)を詠っているよ 言葉を集めて 空に放った たぶん、 君には届かないだろう でもね あの空のどこかで きっと誰かが見ているよ 行き場のないこの…

虹色想い

「楽しい」 「嬉しい」 「ワクワクする」 毎日がそんな感情ばかりなら どんなに素晴らしいことだろうか だけど それだけじゃない つらいときもある 悲しいこともある 心が痛くて、 思い出すだけで 立ち上がれないようなことだって だからって それらを全部 …

CONTENTS

「私」という 中身が詰まった缶がある。 色んな人が 「私」を手に取り、 買い物かごに入れて行く。 素通りする人もいれば、 手に取って ラベルや成分表示を見た上で 結局、陳列棚に戻す人もいる。 逆に、 ラベルも見ずに買って行く。 そんな人もいる。 蓋を…

奇跡 #詩

茫漠と 無限に広がる 宇宙の片隅で 悠久たる 幾億星霜の 時の流れの ひとひらのなか たまたま、 同じ惑星で 同じ時代に 生まれて 出逢った それは あり得ないほど 低い、確率の いたずら 神様が 私にくれた たったひとつ かけがえのない、

フロンティア #詩

遠い 記憶のなか 自宅までの一本道を あなたと二人 手をつないで 歩いたね 今でも 憶えてる 見上げたあなたは 大きく暖かく 幼い私は 何の不安も抱かなかった 年月が経って いつの間にか その背を越えていた あなたは もういない 手を引いてくれる人は ここ…

二人のソリティア #小説

磯部香織が彼と会うのは二回目だった。SNSで知り合ったその男の本名を、まだ彼女は知らない。SNS同様、<ユラ>という彼のハンドルネームで呼んでいた。 二人はデパートの上層階にあるレストランに来ていた。<ユラ>が選んだ店だ。味も雰囲気も悪くない。香織は…

よくわからないことが「かっこいい」と感じる中二病的心理効果について #エッセイ

後半は、小説を書く身として思った内容になっています。 読むだけの人も、「こういう見方もあるのか」と思ってもらえるかも。 気楽にさらっと眺めていただければ、と思います。 聞いたこともない単語が不思議とかっこよく思えたり、理解できないことを話して…

手を伸ばすよ #詩

理不尽は 唐突に襲い来る 誰もが知っている 失われた命が尊いのは 二度と帰らないからと なのに、 理不尽は 唐突に襲い来る どうか 教えてほしい 名前も知らないあなたは いつから私の「敵」だったのかと 私はどうすれば あなたの「味方」でいられたのかと …

誰もひとつ処に留まり続けることはできないと #詩

あなたは言う ――私は変わった、と。 確かに、そう。 いつだって私は 誰かが望むように姿を変えてきた ときには 手足をもぎ、 より強い手足と取り換え ときには 目をもっとよく見える目と 脳をもっと早く回る脳と ためらわず交換してきた こんなグロテスクな…

天使たちの楽園 #小説

風が心地よい。 私は自由だった。 仲間たちに恵まれ、空を自在に駆け回ることができた。 手足を動かしてひと飛びすれば、世界の端から端まで旅することができた。 「ねぇ、今日はどこに行く?」 「あっちの洞窟を通り抜けて見ようよ」 「またあそこ? ……ふふ…

人魚姫のうた #詩

海のお姫様 貴女が陸に上がったのは 想い出の海に 溺れないためだったんだね 大好きだった人間を 想い出すだけの 深い追憶の海に 不器用なお姫様 貴女が言葉を手放したのは 心を隠すためだったのかな 喜びも切なさも恋心も 深い深い 沈黙の奥底に 美しいお姫…

暗闇から抜け出して #小説

僕は一人きり、この真っ暗な世界で生きてきた。 この世に生まれてから、ずっと。 外の世界はもっと明るく、色彩に満ちているらしい。でも、そんなことはどうでもよかった。この闇の中でも、音と匂いを頼りに生きていけるのだから。 僕は誰にも頼らず、一人き…